仮想企業経営プログラム「バーチャル・カンパニー」を使用


毎日新聞 朝刊 2003年(平成15年)11月11日

大学・農村共同で起業家精神学ぶ
タイ「黄金の三角地帯」の一村一品運動
ネットで商品開発


 日本の地域振興策「一村一品運動」の積極的な導入で知られるタイ。現在、日本貿易振興機構(ジェトロ)などの支援を受け、国家的事業として伝統工芸品・特産物の品質向上を各地で模索する。ラオス、ミャンマーを望むタイ北部「黄金の三角地帯」(ゴールデン・トライアングル)では、中心都市チェンライの国立メーファールアン大学(ワンチャイ学長、約2300人)を拠点に、研究者・学生と地域生産者共同の品質改善、インターネット利用の電子商取引網構築などの試みが始まり、地域の期待を集めている。

 「売れ筋商品など、大学にはもっと新しい情報提供を期待したい」(村民の1人)。10月31日、同大学で開かれたプロジェクトの成果発表会には、修士課程を含む学生や教員、近郊の村民ら約200人が参加、5ヶ月間の活動をめぐり活発な意見交換が行われた。

 プロジェクトは、日本の経済産業狂句に委託された特定非営利活動法人(NPO)「アジア科学教育経済発展機構」(所沢仁理事長)がノウハウを支援。織物、パイナップル、陶磁器など計5学科から志望した教員・学生42人が5チームに分かれて7村に入り、商品開発を村の生産者と追求した。共に「起業家精神」を学ぶ狙いだ。

 この結果、「英文食品成分表示の徹底」(パイナップル加工品)や、装飾品以外の日地用品
への品揃え拡大」(木製工芸品)などが実現。一方で、設備の老朽化、製造技術の不統一などの問題点も浮き彫りになった。IT学科生は、インターネット上の商品紹介ページ開設を担当。情報収集のため、全村に通い詰めた。その1人、ワトキットさん(20)は、「商品写真を1枚撮るにも、村人とセールスポイントを確認しながらで大変だった。プログラマー志望だが、営業用のページ作りの難しさが分かり、いい経験になった」と話す。

 所沢理事長らによると、将来はミャンマー、ラオスの村々と同大学をインターネットで結んで商品開発手法を情報交換し、チェンライを地域における一村一品の中核に成長させる計画だという。

 プロジェクトには、タイのパンサック首相政策顧問も「チェンライは、ミャンマーなどをにらむ政治的に重要な要衝。ここの経済発展は極めて意義深い」と期待を寄せる。背景には世界最大級の麻薬生産地である同地域を経済活性化によって脱麻薬化させる戦略があり、近年、日本が目指す「人間の安全保障」の面での支援と合致した構図がある。


        
              タイでのバーチャル・カンパニーの授業の様子  


※写真は当センターが撮影したものです。