起業家教育とは
「起業家教育」という言葉を見ると、”将来起業して社長になる人を育てる教育”と受け取られがちですが、起業家教育は、英語ではentrepreneurship educationと表記されます。アントレプレナーシップ(entrepreneurship)は、リーダーシップが「指導者としての素質・能力」という意味であるのと同じように、本来は、「起業家としての素質・能力がある」ということで、それを学校教育、特に初等教育で行うということは、将来起業家にならずとも、起業家的な行動能力を培い、どのような職業についても、それを活かせる人材を育てることを目的としています。
文部科学省は、キャリア教育の概念について「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育」ととらえ、端的には「児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育」とすると述べています。つまり、キャリア教育は、“社会生活のなかでどのように働き生きていくかを個々人が見出す支援”であり、多様な職業の選択肢について知ることは、進路を決定していくうえでも大切な学びとなります。その職業の選択肢に、起業を加えることも、起業家教育の、また私達大人の大切な役割です。
残念ながら、現在の日本の教育では、自ら仕事を創りだす(起業)ことについて考えたり、社会問題を事業を通じて解決するような実践は、多くはありませんでした。しかし、新しい価値を創造し、よりよい社会へと変革するリーダーには、課題を主体的解決して事業を推進していくアントレプレナーシップはなくてはならない能力です。もちろん、アントレプレナーシップは、短時間の活動を1度しただけでは、なかなか培えるものではありませんが、繰り返し学ぶ機会を与えることで、発想力・創造力・問題発見&解決能力・情報収集&分析能力・チームワーク力・リーダーシップ&サポーターシップ・コミュニケーション能力等の向上が図れ、時間をかけて取り組むことで、キャリア教育が目指している人間関係形成能力・情報活用能力・将来設計能力・意思決定能力などを習得することができます。
具体的な活動としては、以下のような活動があげられますが、いずれの活動も、学校の先生だけが指導するのではなく、実際に起業された方や取り組むテーマの専門家の方、教育系のNPO団体や自治組織などと連携して実施し、児童・生徒が、社会に働きかけることの意義や責任を学ぶ場としていただければと思います。
- ・起業家の方に具体的なお話を聞く
- ・身近な課題を解決する事業を提案する
- ・実際に提案した事業を模擬会社を設立して商品販売やサービス提供を行う
- ・地域の人と一緒に、地域活性化に関わる事業を企画・実施する
- ・学校で催すイベントを児童・生徒が主体で責任もって推進する
- ・修学旅行など自分達の活動の経費を自分達の事業の収益で賄う