過去の入賞者の声
卒業生達の座談会 (PDF資料)2024年度の入賞者の声
『国宝 可動式バリアフリー計画』リーダー 小松原 奏空 (八幡市立男山第三中学校 1年)
僕らはバリアフリー武道に通っており先輩の車椅子ユーザーの方と演舞際(神社などで形をする)に参加したとき、階段や敷居などで建物の中に入れず、みんなで持ち上げて入りました。その時なぜバリアフリーになっていないのか不思議で、ここにスロープがあればいいのにと思ったことがきっかけで、「Kyotoアントレプレナーチャレンジ」に応募しました。
最初は、移動式スロープや昇降機を階段や段差に一時的に設置して神社仏閣などのバリアフリー化を進められないかと考え、その事業案を実現する方法を模索していました。しかし設置場所の問題、歴史的建造物の景観保全の観点、また設置できても費用の問題などから、自分達では実現するのが難しいという判断になりました。そこで、設備面でのバリアフリー化ではなく人的バリアフリーに取り組むことにしました。人の手で車椅子の人の段差移動を手伝うというもので、その発想から『車いす持ち上げ取説』を作成することにしました。
これを思いついたきっかけは、日本では車いすを持ち上げてくれる人が少なく、車いすユーザーの方に聞くと、「手伝ってくれるのは、海外の人ばかりだ」という声があった事です。なぜ日本では車いすユーザーに対する人的バリアフリーが進まないかというと、車いすの持ち上げを依頼されても、「どこを持てばいいかわかるらず困る」人が多いからだと思いました。
車いすのどこを持ち上げるかや、車いすの持ち上げ方がわかれば、気軽に手助けできる人が増えて人的バリアフリーが進むのではないかという願いから、僕たちは、車いすの持ち上げ場所に目印を作るシールや、持ち上げ方法がわかるシールを作成しました。それらを、車いすユーザーの方に携帯してもらうという方法で人的バリアフリーが進められるのではないかと活動をして来ました。
そして、今は試作品段階なのですが、現在の車いす持ち上げ取説のヒアリング結果をもとに改善しています。僕たちはこれからも活動を続けて人的バリアフリー化(
車いす持ち上げ取説)を広めていくつもりです。僕たちはこのHPで活動発信をしていきます。皆さんにも、応援していただけると助かります。これからもよろしくお願いします。
『すぐきの魅力を伝えたいっ!』リーダー 藤井 涼羽 (京都先端科学大学付属中学校 2年)
今回、私がこの事業を提案したきっかけは、学校の総合的な学習の時間ですぐき農家である玉田農園に見学に行ったことです。すぐきのお漬物は知っていましたが、初めて詳しくすぐきのことについて知ることができました。しかし、すぐきは京都三大漬物のひとつですが、柴漬けや千枚漬けほど有名ではありません。そこで、京都にはすぐきという素晴らしいお漬物があるということを伝えたいと思い、「Kyotoアントレプレナーチャレンジ」を見つけ、すぐきをお菓子として販売することを考えました。
それは、小学生の時、学校の給食ですぐきがでたのですが、好き嫌いが別れていました。そこで、若い人にも親しみやすく、食べてもらいやすくしたいと思い、身近なお菓子にしてみようと思ったのです。
この活動を通じて私達が一番苦労したことは、コミュニケーションをとることです。初めてのことが多く、メールの書き方を教えてもらい、初めてお店や会社に電話をかけましたが、どうしても緊張してしまい、大人の方と話すのは、難しかったです。そのためか、伝わっていなかったことも多く、協力してくださっていた方から「本当にやる気があるのか」と厳しいお言葉を投げかけられたこともありました。そんな時は、この事業の主催者のNPO法人アントレプレナーシップ開発センターの原田さんと話し合い、原点に戻って、活動の目的を再確認しました。今から、思えば、厳しい言葉を頂いたからこそ、しっかり考え、問題を乗り越えて頑張れたように思います。
また、試作品作りも苦労しました。私は、この事業を始める前は、あまりお菓子作りをしたことがありませんでした。しかし、このプロジェクトに参加してくれた倉田さんが、お菓子作りが得意で、いつも助けられました。さらに、お菓子にすぐきの味を出すことにも苦労しました。すぐきは何か加えたり、熱を加えたりすると、風味がなくなってしまいます。最初は、おかきにしようと思っていたのですが、揚げたては、美味しいのですが、冷めると風味をあまり感じられませんでした。いろいろ試作しているなか、すぐき農家の方から昔、すぐきのクッキーを販売したことがあるけど、クッキーを作っていたお菓子屋の店主が亡くなり、販売することができなくなったと聞きました。それで、私達もクッキーを作ってみたいと思い、試作したところ、とても美味しく、協力してくださったパティシエの方にお願いしてクッキーを製造してもらい、京都大学のトレードフェアで販売しました。その後、すぐきの量を増やして、もっとすぐきの味を感じさせる物はできないかとクッキーサンドなどを試作しました。その中で倉田さんが考えたのが、京すぐき包みパイです。すぐきをパイで包むことで、火が入りにくく、すぐきの味を感じることができるようになりました。
最終的に、私達は、京すぐきクッキーと京すぐき包みパイを完成させて、発表会の前日に嵐山駅で販売することができました。販売会で、実際に私達が考案したお菓子を買ってくださったお客様に「おいしかったよ」と言っていただけたことは何よりも達成感を感じることができました。また、自分たちで販売した商品の売上で、菓子作りの指導や京都大学でのトレードフェアの試験販売で協力いただいた店長さんのお店でお菓子を買ったり、すぐきを提供して下さった農園の方にお礼したり、菓子を製造する場所を提供するなどして協力してくださった福祉事業所に残りの利益を寄付して喜んでもらえたりしたことが嬉しかったです。
「Kyotoアントレプレナーチャレンジ」では、普段できないような貴重な経験をすることができました。普段の学校生活とは違って、一人の社会人として活動しなければなりません。「仕事とはどういうものなのか」「起業とはどういうものなのか」を実際に体験しながら学ぶことができました。新しいことに挑戦するということは、決して楽しいことばかりではありません。しかし、この経験や学びを次に生かし、新しいことに挑戦する際は、「私はできる」という一つの自信として活かしていきたいです。
今、すぐきは登録無形民俗文化財を目指しているそうです。これからも、商品開発という枠にとらわれずに、私達にできることがあれば、すぐきの普及のため活動していきたいと思っています。